2015
4/13 悲しい判断
夕方くらいに嫁と娘と三人で家の近くを散歩していました。しばらく歩いたら相変わらず娘から「だっこ!だっこ!」とすごいせがまれます。
娘に散歩させたいのに15kg近い娘をだっこして歩く事で、私や嫁のほうが結構いい体力作りになってる散歩をしてる途中に「かわいらしいねぇ」とひとりのおばちゃんから声をかけられました。
おばちゃんといっても見た目は70代近かったと思います。ただ背は曲がってなく、すたすたとこちらに近寄ってきました。
おばちゃんは「これ一個だけやから」と言い、ラップに包んだサツマイモ入りの蒸しパンを差し出してきました。
私が少しだけ戸惑っていると、おばちゃんは「あっちの家のかわたさんとこのやからええやろ?」と住宅が立ち並ぶ所を指差しながら、私にグッと蒸しパンを差し出してきます。
結局私は蒸しパンを受け取って、そのおばちゃんは自分が指差した住宅街の方向へむけて歩き去って行きました。
私達にとってそのおばちゃんは全く知らない人です。おばちゃんが言ったかわたさんって人も知りません。もしくはおばちゃんがかわたさんで、それを名乗ったという事だったのかもしれませんが。
さてさて、受け取ってしまった蒸しパンをどうするか?みなさんならどうします?
まぁね、危険が満ち溢れいているこのご時世、「はい、そうですか」と言ってなんの疑いもなく食べる人はもうほとんどいないんじゃないでしょうかね。
イライラしてたからたまたま通りがかった家族連れを車ではねたバカヤロウがいたり、知らない人からもらったアメ食べて緊急搬送された女児のニュースがあったように、もう家から一歩出れば無差別的な悪意に私たちは晒されてるんですよね。
普段の何気ない日常からは想像はできないでしょうけど、でもこれは別に大げさではなくて、事実日本国内で起きている事であって、そんな事が「自分の身の周りじゃ起こらないでしょ」と思うのは大いに勘違いなわけで。
無差別な悪意はどこでどう向けられるかは解らない。単に確率の問題だけでしょ。それにあたる確率をなるべく低くしようとする努力はできますけど、確率をゼロにする事はまず無理です。まぁそんなん言っても詮無き事なんですけど。
まぁでもね、おばちゃんには申し訳ないけど、そんな悪意はないだろうと感じていても、もらった蒸しパンを娘に食べさせるという選択肢は今の私にはないわけで。
可能性が限りなく低いとしても、万が一が起こりうる可能性がある選択肢に娘を預けるわけにはいかないんですよ。私としては。
悲しいね。こういう判断しかできないのは。「このご時世が悪い!」と言えるのかもしれませんが、まぁそれを非難するのはちょっと違う気もしましてね。なんか責任の一端をなすりつけてるような気もするんですよ。
でもまぁおばちゃんも私が受け取らない、もしくは娘に食べさせない、という可能性はちゃんと解ってたと思うんですよ。
おばちゃんの「ええやろ?」っていう言葉に「このご時世、知らない人から蒸しパンもらったら疑うやろうけど、こんなんもたまにはええやろ?」って言ってるような気がしましてね。
おばちゃんにしたらただの気まぐれのちょっとした親切心。でもまぁ多分、そういう気まぐれが多い時代をこのおばちゃんは生きてきたんだろうなぁ。
家に帰って私が蒸しパン食べました。サツマイモのほんのりした甘みがパンと合ってておいしかったわ。
↓お願いします。
コメント
こんにちは
うーん 嫌だけど やっぱり子供に
知らない人からのものは食べさせられない。
昔 サンフランシスコにいたおばが
30年以上前ですけど・・
ハロウィーンのお菓子は中止になったと。
なんでも 子供に毒の入ったお菓子を
あげたらしいのですよね・・。
誰だかわからない。
叔母は頭のおかしい人がいるのよって
言ってましたが・・今は 日本もそうだと思います。
(というか ここまで 伝達方法がなくて 拡散して
知らせなかったから わからなかったのよね)
怖い世の中です・・。
800びくに様、コメントありがとうございます。
> うーん 嫌だけど やっぱり子供に
> 知らない人からのものは食べさせられない。
確かにそうだと思います。
無意味な賭けはする意味がないですしね。
> ハロウィーンのお菓子は中止になったと。
> なんでも 子供に毒の入ったお菓子を
> あげたらしいのですよね・・。
子供が喜ぶ顔を見たいので「お菓子をあげる」という行動が
こういう前例が多いが為に、結局取る手段はすべてを
拒絶するしかないというのは悲しいもんです。
はじめまして
いつもこちらのブログを興味深く読ませていただいています
>悲しい判断
ほんと、悲しい判断ですよね。でも私も同じ事態に直面したら同じことをしていたと思います。
いやそれ以上に自分自身で食べさえしなかったと思います
その「おばちゃん」が善意ではあったと思うんですが・・・万が一を考えてしまいますからねえ・・・
私が子どものころは(住んでいるところが田舎ということもありますが)もっと緩かったんですが・・・
「ご時世」とはいえ我々もその「ご時世」をつくった一員・・・いろいろ難しいですよね・・・
水色桔梗様、はじめまして。
コメントいただきありがとうございます。
> ほんと、悲しい判断ですよね。でも私も同じ事態に直面したら同じことをしていたと思います。
>
> いやそれ以上に自分自身で食べさえしなかったと思います
私も自分自身で食べる事を、正直迷いましたが「捨てる」という選択肢はなかったんですよね。
ここらへんは私の甘さなのかもしれません。
> 「ご時世」とはいえ我々もその「ご時世」をつくった一員・・・いろいろ難しいですよね・・・
そう、まさしく私が「非難するのはちょっと違う」と感じたのは、
私もその「ご時世」をつくった一員だと感じたからなんです。
わかっていただけてありがとうございます。